きらきらひかれ

テレビもねえ ラジオもねえ おまえにそれほど興味もねえ

愛され上手は死に上手


恋ができない。誰のことも好きじゃない。パチモンの感情を伏し目がちに観察して、いいところを探して、こころのノートに書いて、一瞬の錯覚をあたかも永遠であるように言いふらすことで後に引けなくなり、洗脳していくことを恋と呼んでいる。そんな恋ならたくさんしてきた。その度に適当に愛と恋にキラキラを纏わせた言葉を並べて好きの証明を書き続けている。昔から行ってもいない行事の作文を書くのは得意だった。あらすじと結末しか読まずに書いた読書感想文は賞をとった。私にとって偶然発生した1の好意を100に解釈して1000の言葉を綴ることなんて容易かった。

自分に酔えない人間は恋ができない。俯瞰して見た瞬間に全てが終わる。もっと言えば、落ち着いて見た瞬間に恋の幕はガラガラと下がる。だからいつだって恋は盲目。へべれけな千鳥足で駆け寄れば、君は私を抱きしめてくれるのだろうか。

性欲が強くなくて助かった。人間が1人でできないことなんてキスとハグと生殖くらいしかなくて、あとはお金と自信で大体どうにかなる。なんならキスもハグもその先もお金を払えばどうにかなってしまう。ただ、愛し合うことだけはこの先私がどれだけ偉くなっても、どれだけ大金持ちになっても、どれだけ美しくなっても、きっと手に入らない。ただ愛されたかった。それには私が愛さないといけなくて、愛せないならきっと求めてはいけない。私は君を永遠に愛せない。だから私は愛されない。

今日このまま死んでしまって、何人が私の死に泣いてくれるか見てみたい。その時初めてあなたのことを心から愛せると思う。二度と開かない目と二度と動かない体で安らかに君に恋をする日を私はずっと待っている。